21.04_22-1. 2. 5. 8. 11. 12. 16. 18. 19. 27. 28. 30. 33. 34

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三面の軒を壊します。

私は明日シートをかけるための縄とあるきをぐしの下にとりました。万能を使って一人で歩き縄をとるのは初めてです。足元が小さな凹凸しかなく、それをいちいち移動させながら進むので全身の筋肉を使います。フィンランドでボルダリングジムに通っていた頃を思い出しました。その間に軒の作業は溝になっていた部分の修正も合わせて完了していました。


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昼休憩中に、江戸さんから話があるとのことで渡辺さんと3人で話をしました。牧田はもう少し地走りの仕事に集中した方がいいのではと言う話でした。地走りもまだ学ぶことがある、と言うことです。これは牧田がまだ十分に地走りの仕事ができていないからなのかと思い聞くと、そうではないようで、だとすれば女だからなのだろうかと思うほかありませんでした。これは聞けませんでしたが、一度そう考えると悔しくて仕方がありません。

— r3_0702 追記

これは弱音です。自分の未熟な部分を出してしまったことを反省してお詫びいたします。


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この日はとにかく地走りを徹底し、なるべく上の二人の手を止めないように気をつけました。さすがだな、と思います。どんどん進みます。


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水切り茅を江戸さんと拵えました。

風土記の丘での茅ごしらえは気持ちがいいです。茅ごしらえの作業も好きだし、やっぱり施設の雰囲気がとても好きです。音もいいし、温度も、明るさもいいです。一生懸命やっていても、気持ちは穏やかです。

(別の地域で同じく茅葺見習いをしていた女の子がそこを辞めてしまったそう。他人事ではないから少し怯える。)


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三面の水切りを渡辺さんと江戸さんでつけていきます。三面の隅が面白いです。妻側から段差が平側へ流れ込むように曲線で消えていきます。「花が回った」と渡辺さんが言っていました。花びらのように、丸みが有機的で立体となって回っているから、こう言われるのもスッと理解できます。道具や材料の呼び名は、毎回漢字変換に困りますが、なんとなく名付けられた感覚がわかるような気がして、小さく感動します。


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平葺は矛(ほこ)の間隔が広かったのですが、4枚で葺いても伸びてしまいました。単純に並べた茅が薄かったのかなと思いましたが、渡辺さん曰くこの部分は「高い」そうで、あまりがぎで突かないんだそう。いつもこの「高い」は、「張ってる」とか「上がってる」とかと違う使い方をされていて不思議でした。「高い」は、勾配を見る時に標準より高めに設定して葺いていると言うことだと理解しました。今回新たに葺いている横には前回葺いた箇所があり、その形に合わせて葺く必要があります。下からだけでなく横からも見るようにと注意を受けました。

(屋根に上がって作業をしなければわからないことが山ほどある。)


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廣山さんとお会いするのはワークショップ以来で、相変わらずお元気そうで何よりでした。


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刈り込みは一緒に作業に混ざります。

それでもすぐやり直されて私は加わらないほうが早く進むのにな、と思います。


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途中から刈り込み作業から私は抜けました。調整が難しいことと、箒で履いたり下すながらを受け取る仕事についた方が良さそうだったからです。限りなくできることはいつまで経っても少ないです。


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軒を刈るにあたり、水切りの厚さを調整するために小さな水切り茅を拵えました。この日は作業を進めることだけ頭を使い、それ以外は何もできませんでした。いつもなら新しい工程を見ると、嬉しくて仕方がありませんが、自分ができる限りなく少ないことを探して探して、なんとか時間を潰すようでした。

軒の刈り込みを少しやらせてもらいました。やっぱりどんなにヘタクソでも作業ができることはこんなに体が楽になるんだなと思いました。


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鳥が茅を引っこ抜かないように糸を張りました。裏おし用の竹を使いながら屋根の途中で引っかからないように端から端まで張ります。みんなの共同作業で、少し嬉しくなります。渡辺さんが引き続き西面の刈り込みを行います。三面で「花が回った」部分が綺麗になって、清々しい気持ちになります。


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少し刺させてもらいましたが、またやり直してもらいました。でも本当に少しだけど、見ているだけでは全くわからない難しさや感覚を体験できたことが嬉しくて、こうやって合間合間で覚えていくしかないんだなと思います。

刈り込みはあっという間です。ながらがどんどん外れていきます。最後に叩いて調整して、綺麗に掃除をしてこの現場を納めました。

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新しい現場が始まりました。

毎日本当に反省ばかりです。技術を学ぼうと必死になりますが、現実との差に落胆します。それでも職人も他のみんなも優しいので頑張れます。何が屋根にとって良いのか、考えることを止めずに学んでいきたいです。

(この現場はJRの駅から近く、住宅街の中にあります。いつもと違う景色、音の中で作業をするので、少し慣れません。)


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初めて谷があるところの修繕で、江戸さんも初めて自分が担当すると言っていました。なかなか見れる時もないので注意深く見たいです。


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渡辺さんも平葺作業に加わり、急にスピードアップします。私はほとんど作業に入る隙もなく、茅をあげたりすることに必死です。作業員のおじちゃんがいてくれることに感謝しながら、必死に上の二人の作業を止めない様に、なるべく近くで作業の補佐をできる様に努めます。

(あっという間にぐしもとまで葺き上がった。景色は街中。車が通って家が密集している。音がいつもと違う。)


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年末年始の休みも明けて、初日は茅を下す作業でした。

園内では売店が食堂へ移動したり、茅現場の出勤体勢が変わったりと変化が多くありました。今年も茅現場は予定が詰まっているので、現場に通い始めて半年の自分も、少しでも役に立てる様に気を引き締めて頑張りたいと思います。

(風土記の人たちとはより一層仲間意識が強くなってきている様に感じます。ヨソモノの自分にとっては、本当にありがたいです。)


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バンドを作るのも一苦労です。初めて自分の道具で竹に割れ目を入れて節をとったりしました。それが嬉しくて頑張れました。筋肉痛になります。


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職人が文字の練習をしていてワクワクします。


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字って面白いな、と見ていて思います。飾りとしての文字、何か願いが込められた文字。その人の視点や感覚が映し出されます。職人二人の間ではその人柄がわかるなと思ってしまいます。遊びがあるな、と見ていてワクワクします。


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自分で勾配を定めながら刈り込むのは初めてでした。途中、針金を刈ってしまった様で、刃が小さくこぼれてしまいました。初めてで非常に悲しい気持ちになりました。でも、お世話をすることは、道具と近づけた気持ちも芽生えさせました。


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刈り込みの続きです。瀧田さんが箒の代わりにブロワーを使ってみます。一長一短だな、と言っていました。私は、茅葺の好きなところのひとつが、音がささやかなことだと思っています。大きな音がするときと言えば、刈り終わってブロワーをかける時と、工事が始まる前と終わった後に単管パイプで足場を扱う時だけです。茅の音やハサミの音、がぎ棒で茅を叩く音、箒で履く音、あとはおしぼくをみんなで踏む時の音が記憶に残ります。

(寒くて、ハサミを研ぐのも歯を食いしばる。)


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江戸さんが軒の仕上げを少し行い、見事葺き替えが完了しました。みんなで丁寧に掃除をします。お庭には色んな木があって、見ていて楽しいです。作業をしている中で倒れてしまった植木があり、どうしようかと慌てていると、お家の奥様が、そんなことは気にしないで。と明るく話しかけてくれました。工事中も帰りの時間に少し植木のことを教えてもらったりしました。お庭をとても大切にしているはずなのに、笑顔で気にしないでと言ってくれる心の温かさに感銘を受けました。屋根も喜んでくれて、気持ちよく帰路につきました。

(車の中から出来立ての屋根を望んで、雨の中晴れた思いでしばしの別れを告げました。)


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ずっと先延ばしにしていた竪穴の作業を一旦再開です。施設内でこれだけのびのび作業できる機会は貴重なので待ちに待った、という心持で挑みます。渡辺さんの作業を見ながら、必死に頭を使いながら、追いかけます。

(嬉しい。やっぱり楽しい。)


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ながらと番線で足場を組むのは初めてで、本当に些細な知恵で大きな成果だと感動します。


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フラワーパークへ茅と材料を搬入しました。これからパーク内インフォメンションセンターとなる施設に茅の壁を制作します。ただ、現場に入ったところ予定と違うことがいくつかあり、初めから少し不穏な空気が流れます。他の業者と連携して行われる機会はこれまでの現場では無かったので新しい課題です。

壁に取り付けられた網状のメタルの面に茅を並べていきます。茅の適切な長さを定め、私が茅を切り、職人が並べていきます。


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室内で他の業者も作業する中なので掃除をこまめに行いながら、狭い範囲で作業を行っていきます。

茅壁は一度試作を作りましたが、まだまだ要領を得ないうちに現場入りをしたため、作業は慎重に進められます。

(なんだか職人はいつになくやりずらそうです。)


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(雨に茅を葺いている。)


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仕上げを終え、荷物の搬出を行いました。

(みんなの考えていることを考えることは、気力が必要で、やりすぎると相手も悪い気持ちにさせてしまうことがある。これは茅葺の修行以前の、人と生きる修行だと思う。ずっと続くんだなと思うと、人も大変だなと思ってしまう。)

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おしぼくを踏んだらすぐに、次の裏おしと、場合によっては次の次の裏おしを探します。裏おしの間隔が広いと、普段3枚ほど並べておしぼくをとるのですが、4枚、5枚並べてとる様になります。3枚並べる時と比べると、4枚はやりにくく感じます。茅が短いと固まりにくいし、目標の高さまでが遠いので見当をつけにくいです。それでも自分の中で、これだと詰まるかな、とかこの茅なら薄くても良いかななどこれまでの経験を思い出しながら取り組むことができた様に思います。失敗もありますが、着実に経験を積んでいることが体感できて嬉しいです。


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がぎ棒を、廣山親方から直接譲り受けたものを溝を掘り直して、初めて使いました。すごく使いやすくてびっくりしました。彫っている時は、もう劣化が激しいからどうかな、と不安でしたが、やっぱり達人が使っていた道具は本当に使いやすいんだな、と感動しました。


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軒が綺麗になりました。あれだけずれていたら揃わないのかなと内心思ってしまいましたが、揃えてしまう職人たちはすごいなーと感動しました。判断力を身につけたいです。この現場は完了しました。写真をなかなか撮れなかったなと反省します。


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渡辺さんからメモを渡されて、一人で次の現場の材料や道具を準備することになりました。初めてのミッションですごく緊張しましたが、これまでもずっと手伝いでやってきたことだし、せっかく一人で任せてもらえたので張り切って行いました。どこに何があるかを頭で整理しながら、無駄足を踏まない様に、数も入念に確認しながら進めていきます。

くまでは両脇をあらかじめ補強しておくと強くなる、と渡辺さんから教わって、倉庫にあるくまでを全て番線で補強しました。東光寺の御住職が、修行の初めはまず箒をこしらえることだったと言っていました。施設の掃除のおばあちゃんが、「屋根の修行じゃないでしょうに」と笑ってくれましたが、こうした作業も大事な修行だと心から思えます。

(物の位置がわかってくると、場所に馴染めてきた心地がして安心する。)


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つくばにある高エネルギー加速器研究機構の施設内にある茅場へ茅刈りにいきました。茅刈りは初めてで、どきどきしながら向かいました。その日は茅葺文化協会がワークショップを開いて廣山さんを講師としてお呼びしていたので、それにあやかって私も廣山さんからご教授を受けました。会って早々廣山さんから、使わなくなった作業服などを差し出してくれて、有難いことに頂きました。早速それを身につけて作業を行いました。

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両側からすごい速度で刈り込みが進められるので自分が刈れる部分はとても限られています。急いでも刈れないし、遅いと少ししかできません。したの掃除やながらの片付けなどを含めると刈れる時間は本当に限りがあるので、緊張しながら、でも待ち遠しい時間でもあります。貴重な機会を一つ一つ大事にしたいです。

(感動)


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切り妻のこの門は、妻の形がとても特徴的です。くびれがあって、丸みを持たせて刈り込みます。それがとてもかっこいいのです。渡辺さんと江戸さんが片側ずつ担当してそれぞれ集中して進めていきます。私は掃除しかできませんが、形が見えてくると嬉しくなります。

(今までで一番長い現場でした。毎度のことですが、今回は本当に頭も体も使った気がします。)


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今後のスケジュールを話し合いました。茅の量、職人の人手に対して明らかに、葺替えの依頼の量が多いという現状が改めて明らかになりました。これにはいい流れを想像できませんでした。材料、人件費の価格高騰が余儀なくされていることが悲しくて仕方がありません。家主と茅が、家主と職人が遠ざかってしまう。


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足を伸ばして後ろを覗き込んだり、片膝をついて体の横で刈ってみたり、正面から前屈しながらやってみたり、どれもまだ安定しません。ハサミを研ぐ作業も難しくて、いつも頭を抱えながら手を動かしています。

(軒の刈り込みはすごく難しいけど、すごく楽しい。葺く時に均等にできていればもっときれいにできただろうな。)


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大親方のお宅へ渡辺さんとしまがやを受け取りに行きました。積み込みで縄を「セーノ」と一緒に締めました。茅はスラッとまっすぐで、葉っぱが暴れたりもしていません。帰りに渡辺さんは大親方からハサミを、私はがぎ棒を譲り受けてしまい、嬉しい事この上なしです。大事に使おうと思います。

(どんぐりが落ちるのは樫か椎の木。大きな葉っぱで実が落ちるのは栃の木。黄色く紅葉するのはハギの木。)


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とても楽しいです。恵まれた環境で屋根葺きを学ばせていただいてます。軒の刈り込みも平葺作業を自分でああでもないこうでもないと考えながらやってみて、どうしてもわからないところを職人がサポートしてくれます。甘やかされすぎているかなと思う時もあるので自分で自分に喝を入れながら、職人や場所に頼りすぎない様に頑張ろうといつも思います。現場では時間に追われ、質も要求されるので今の様にはいきません。気持ちは現場の様に、でも自分で葺くんだという気持ちで取り組みたいです。


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頭を整理しよう。簡素に。


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水切りがやを作るのはまだまだ緊張するし思う様にできませんが、日々修行だなと感じます。

(ねこが喧嘩したり一緒に寝たりしている。)


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初めて現場がある日に休みを取らせていただきました。すごく申し訳ない気持ちと、悔しさが募ります。それでもみんな暖かく迎えてくれて、改めていい人たちと一緒に仕事をさせてもらっているな、と感じます。


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裏側を壊し始めました。裏面は何度か葺き替えているそうですが、どうしても長持ちがしないそうです。後ろに山があったり、水捌けが悪いことが原因なのかなと思います。ゴミも重たくて、幼虫がたくさん出てきます。表面にはコケがきれいに広がっていて、少し剥がして持ち帰りました。

かためで初めて山がやを並べてみると、ツルツル滑って止まってくれません。てんやわんやしてしまいました。これは反省です。

(山がやが滑る。山がやと仲良くなりたい。)


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やっぱり職人らは作業が早くて、改めて自分もその中に混ぜてもらうには色んな面倒をかけているんだなと思います。必要なことはちゃんと行いながら、あくまで余裕が出た時に作業をさせてもらう、と言う意識を忘れずにいたいです。

(朝、車の窓ガラスが凍ってしまう。)


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職人が葺いたところは修正が少ないのに対して自分のところでこうした余計な手間をかけさせてしまい、本当に心苦しいです。そして咄嗟の判断を下す職人を見てまた勉強させてもらいます。

「ハサミ慣れてきたね」と渡辺さんに言ってもらえて、すごく嬉しかったです。

(時間をかけさせてしまった!)

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r3_0220 番外編

立ち直るのに時間がかかります。現場でフィルムの交換時、すでに撮り終えたフィルムを再び取り付けてしまった様です。撮り終えた時に印をつける工程を怠ったのだと思います。

竪穴もお寺の門も撮影した瞬間を鮮明に覚えていますが、純粋に残せず無念です。これもまた修行不足...。

そして二重露光の偶然性?意外性?が悔しい気持ちを余計に急き立てます。なんか悔しい。

うーん...茅を屋根としてでなく光、現象として見る(という牧田の勝手な試みを少しは理解する気になる)ためには、都合が良い様な気もします。抽象化して余計な情報が入らないというナイスな効果があればデス。

毎日反省です。



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手がぎは渡辺さんが前に使っていたものを手直しして使わせてもらっていて、がぎ棒はまだ借りている状況なので、自分で作りたいなと思っています。

(帰り道はもう真っ暗。)


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2日間に渡る茅葺ワークショップが始まりました。他の地域の職人も参加していて、彼らのやり方を教わったり、それぞれの違いを楽しむことができてそれも貴重でした。

これまですれ違いでお会いすることができていなかった、大親方に初めてお会いできたことが非常に嬉しかったです。私の師匠の師匠ですから、始めましてですが勝手に自分の親の様な思いでした。

(同世代の女の子達が職人として頑張っていて、仲間意識を持てたことがすごく心強いです。)


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(運営側で参加してくれた他地域の茅葺職人が、「自分もワークショップをいくつもやってきたと自負しているけど、今回は本当に良かった」と言ってくれました。参加者も、スタッフも、楽しんでいた様で、みんな口を揃えて「風土記メンバーの人柄があってこそ」とも言ってくれました。大親方を含めた職人、風土記や石岡の雰囲気が少しでも伝わったんだろうなと思います。)


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ワークショップの興奮冷めやまない内に現場へ戻ります。茅が濡れて、お待たせ、という気持ちでした。そして日々反省です。

(日誌が追いつかなくなりました。申し訳ありません。)


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とにかく冷静に焦らずにと注意を払いながら頭と体をフル稼働させます。


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人間の弱さが明らかになるなあと深く反省です。精神面も鍛えられます。


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すみはどうなっているのか理解ができません。


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掃除をしながらいろんなことを考えます。屋根の上では渡辺さんと江戸さんは妻の水切り作業を真剣に行っていますが、自分は掃除の役割を真剣に行うしかありません。そしてそれがとても難しいです。屋根と同じ様に、こだわればキリがないし、大雑把に済ませると後々やり直す必要が出ることもあります。屋根と違うところは、形に残らないので目指すものが見えづらいことです。そろそろ慣れたいです。

(遠い)


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(工程が多くて覚えるのに苦戦。まくらがおさまると気持ちがいい。篠は節に凹みが少ない。真竹は筋の様に凹みがある。)


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(以前の作業を思い出しながら。)


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ご住職は門がこのお寺の唯一の宝物だと言うほど門を大切にしています。本堂も茅葺でしたが度重なる火事で焼けてしまったそうです。


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朝現場へ向かう前に園内のしゅろの木から皮を剥いでいきました。いろんな材料を調達するたびに思いますが、大部分は購入しているとしても、少し足りない分や急に必要になった時にすぐそこの傍からとってこれると言う環境が本当に素晴らしいなと感動してしまいます。

(ぐしがつくと夕焼けのシルエットで毎日感動します。)


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しゅろ縄で飾りをつけます、無駄にならない様にしゅろ縄を節約しながら行います。やっぱりどうもきれいに立たなくて苦戦しますが頑張ります。

(形が見えてくる。すごいな。)


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あっという間にながらが外れていきます。

(こわばると刃が進まない。)

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施設内の曲り家の修繕に入ります。

(軒から初めて教えてもらいます。)


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まずは杉皮が入っている箇所まで茅を外します。荒縄で束にして下に落とします。この作業も思っていたより緊張しました。

この作業中は蟻が一番の天敵です。4人中3人が蟻に刺されました。痛いです。

(楽しい。)


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古い屋根の奥にあるうらおしから縄をとるのはとても苦戦しました。お客さんの家で縄を取るのに時間をかけている余裕はありません。この時だけ指が長くなって関節が自在になったらと心から思ってしまうのです。

暑さが和らぐことなく頻繁に水分を取ります。風土記の丘ではエアコンの効いた事務所があるので涼むことができます。茅葺の要員以外にも屋外で施設内の整備をしているおじちゃんらや、草取りや清掃をしてくれるおばちゃんらが働いています。熱中症が怖い中ですが、こまめに休みながらみんなで汗水を垂らす日は必ず良い一日になります。屋根に上がって作業をしていると、彼らや食堂のみなさん、お客さんなどが「暑いね~」と声をかけてくれます。民家の現場とはまた違う、色んな人の暖かさがあります。

(難しい。)


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職人は茅を引っ張って、ここまでがとら縄、ここまでがおしぼくにあたってるというのがなんとなくわかるそうです。初めそれを見たときに、信じられませんでした。茅が透けて中が見えるのかと思いました。私には見えないので手を突っ込んでいちいち確認をします。職人に遅れを取りながら茅を差しますが、周りと量をうまく合わせることができません。屋根を降りて勾配を確認すると、私の部分だけ膨らんでいたり落ちていたりします。平葺同様、差しがやも茅の高さを揃えるのは本当に難しいです。

(屋根にあるきが並んでいくと、一つのアスレチックのように見えます。人が登って降りて、景色を見るための高台になって、嬉しい気持ちになります。)


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煙出しの下につける箱の飾りを作りました。

今日は青空で緑と白が茅の色に加わって鮮やかになりました。ぐしを作った時も思いましたが、作り立ては青々としていて綺麗ですが、1日経つとあっという間にあせていきます。いっときの鮮やかさが嬉しいと感じつつ、馴染んだ色に安心する気持ちもあります。


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自分のハサミをまだ持っていないので、渡辺さんが以前に他の職人から譲り受けたハサミをしばらくお借りします。自分のせいで切れなくなったらと思うと恐る恐るですが、研ぎ方を教わりました。少しだけ刈り込みをしてみて、すごくよく切れるのでこれは大事に使わせてもらおう、と改めて思いました。

(ハサミ、楽しい。)


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練習場所で刈るのとはやっぱり緊張感が違います。。今回はしまがやを使って葺いたので柔らかく、やまがやと比べると刈るのに力が要らないそうです。それでも腕が疲れます。握る力が弱まると時々茅が切れずにくねっと折れるだけになってしまいます。

(ハサミ、きれい。)


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足場を解体しました。ただ、食堂なのでお客さんが中にいる間は細かい掃除は避けることにしました。大抵の現場でそうですが、人が建物の中に居るということがとても不思議に感じます。これまで自分の作品制作においては自分とその手伝いの人以外、現場に居る人はいません。近所の人や通りすがる人はいますが、この仕事の現場にはその作業の間に、下に、人が暮らしています。「どんどんと足で蹴る音が好き」という家主がいると江戸さんがいつだか言っていました。複数人で縄を締めるときに、せーので息を合わせて踏みます。その音を屋根の反対側で心地よく聞いている人がいるんだな、とハッとします。茅葺の工事は他の工事より静かだ、とよく思いますが、茅葺は音も人の気持ちを穏やかに動かすのかなと感じます。

(自分も全部の工程を行なって、初めての屋根ができた!)


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鹿の子遺跡移築の中の、縦穴の裏側1面、両脇の半分を壊しました。穴が開いた縦穴を、休憩時間に一人で満喫しました。静かで、柔らかく照らされて、自分は影とも光とも言えない場所に(でも外ではなく、どちらかといえば中に)潜んでいる気持ちでした。雨を遮る役目を持たない、茅葺の屋根に惹かれます。用途を失ってもなお、綺麗なのです。


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(冬の桜の木、春の桜の木のどちらにも花が咲いている。)


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雨で屋根の作業ができないため、後々の現場で必要な山茅の胴切りをこしらえました。久々に一人こしらえ作業ですが、台風が低気圧になった後のしんしん降る雨の中で、非常に有意義に作業することができました。涼しくて素手で触る茅の感覚も気持ちがよく、静かで雨と茅の擦れる音だけが耳に入ります。それでも天敵がいて、顔の周りを常に複数の蚊がついて回ります。


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新しい現場に入りました。着いてからすぐに、「お茶にしましょう」とご夫婦が中へ入れてくれました、玄関は土間で、外と中の中間のような空間でした。もともと家事場も台所も土間だったそうですが改装し、天井もつけたそうです。8時になると奥の部屋から振り子時計のゴーンゴーンという音がしました。昭和初めの時計で、毎日ぜんまいを巻いているそうです。庭にはいろんな種類の花が咲いていて、どの葉も元気そうに見えました。

二人の作業を覗きながら次に必要なものを考えていると、渡辺さんに「結んで結んで」と言われて、私も2人の作業に混ぜさせてもらいました。おしぼくを縄で結び(以前から練習中)、3人並んで縄を持ちながら足で締めることを初めて行いました。江戸さんに「よだれ垂らしそうな顔してたよ」と言われました。このお宅が江戸さんにとって初めて屋根に登った現場らしく、私も少しですが、職人と一緒に同じ作業をさせてもらうことになりました。

(帰りは風が気持ち良くて窓を全開にして、ラジオの音楽と外の景色を満喫した。)


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朝いつもより早くに風土記の丘に着きました。現場がない日はまず事務所や売店の清掃から始まるのですが、私が出勤するより先に所長や渡辺さんたちが曲り家の囲炉裏で火を焚いています。この日は初めて私も一緒に火を囲みました。茅葺屋根は竈門や囲炉裏の煙があることで長年腐らずに使い続けることができます。曲がり屋は煙出しが備えられていて、屋根の上へ煙は無理なく抜けていきます。「やめようかと思ったんだよ、毎朝焚くの。効果があるかも良くわからないしな。」と所長は言いました。栗の薪を近隣の方から大量に譲り受けたらしく、それが無くなるまではやるか、と今も続けているそうです。無くなる頃にまた誰かが薪を持って来るんじゃないですか?と言ったら「そしたら続けるしかないな。」と笑顔で答えました。


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この現場ではカメラを持ち歩いて撮るという余裕があまり無く、なかなか撮れずに居ます。休憩中に撮ることはできるのですが気力が持たず、フィルムのカウンターも動かずに屋根は進んでいきます。言葉にして残すことは時間が経って後から思い出しつつできますが、写真は一度逃すと手遅れになるのが怖いところです。


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(屋根裏は宇宙かお化け屋敷か。どちらにしても生き物の気配を感じてしまう場所。)


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雨が怪しい中、仕上げの作業に現場へ行きました。軒の刈り込みをするためですが、途中で雨に降られ中断していました。その間、家主のご夫婦とお話をします。ご主人は、年に何度か屋根の夢を見るそうです。「(夢の中で)屋根が酷く崩れてしまって、どうしたものかとすごく不安になる」「夢でなくても、道の脇にススキを見れば、材料にならないかと想像してしまう」と言っていて、常に屋根は頭の片隅にあるようです。奥さんはこの日一つの電話を受けて、その相手は目が見えない、一人暮らしの親戚の女性だったそうで、「ふと頭に浮かんだ番号にかけたら、うちだったみたいなのだけど、茅葺の屋根を、目が見えるうちにもっと見れたらよかったと言っていた」と話してくれました。人が、茅葺きを大切にしたいと思う気持ちは、どれだけの苦労を背負っても、機能性や快適さだけではない、美しさに惹かれているのかなと、こうした会話の節々に感じます。雨は止んで灼熱の太陽の元、この現場の作業は終えました。


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(練習場所で)古茅をもってきて、ゆずりの上にいよいよ茅を葺いていきます。葺く厚み、重ね具合、縄のとる幅、がぎの押さえかた、傾斜のつけかた、どれ一つとっても感覚的で、基準は目と手で覚えなければならず、渡辺さんの動きと手の感覚を記憶しようと必死でした。


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練習場所で黙々と作業をしていると、いろんな人が話しかけてきます。職人はたまに様子を見にきてくれるし、シルバーのおじちゃんたち、蕎麦屋のおばちゃんたち、お客さんや鳥も蚊も賑やかしに来ます。みんな生き生きしていて本当に良い場所だなと感じます。私が何をやっているのか、どんなことを思ってここへ来たかなど、色々と興味を持って聞いてくれます。なるべく嘘の無いように返そうと、その度に頭を整理します。


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新しい現場に入りました。風土記の丘から1時間ほど車に乗ります。玉ねぎ農家さんで、玉ねぎを乾燥させるビニールハウスで茅ごしらえをします。「ビニールハウス…暑いのかな」と思いましたが、ハウスの壁はハンドルを回すと開閉可能で、ビニールの上には黒のシートを被せてあるので日中もそれほど熱が篭ることはありません。


作業中、依頼主のお父さんがビニールハウスに入ってきて、おもむろに玉ねぎの皮を剥き始めました。みんなが休憩中にも手を止めずに黙々と玉ねぎの皮を剥いているので声をかけてみると、「今年は長雨で腐って売りに出せないものを知人が欲しいと言うから」と、ダメな部分を除いているようでした。「帰りにあなたらも持っていきな。奥に小さいのがあるだろ。それも。」と言うので見に行って、「これですか」と大声で聞くけど返事がありませんでした。その後の話の中で、そのお父さんは全盲だと知りました。玉ねぎが腐っているかどうか、ハウスのどこに何があるのか、目がなくてもどうってことないよ、と言わんばかりの働きぶりでした。


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「茅をこしらえるのにこれだけ時間がかかるわけじゃん」と江戸さんが話を始めました。「他の地域では茅ごしらえをしないでそのまま葺いてる所もあって、その技術を身につけるのも方法として良くない?」と聞いて、反応に困ってしまいました。それが可能なら安価で早く修繕することができるけど、屋根の質が落ちるんじゃないかとか茅のゴミを増やすんじゃないかとか色々頭に浮んで、何より自分は茅ごしらえの時間がすごく大切な気がしていて、その文化が無くなることが怖いと感じたからでした。その時はうまく答えられず悶々としてしまいましたが、色んなことに疑いの目を持って話してくれると私も考えさせられます。


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お盆が明けて作業再開です。先週こしらえた胴切りを、3枚ずつ葺いていきます。練習場でやったことを、初めて現場でやることになりました。茅を他の職人と同じ厚さになるように注意しながら並べます。現場の空気は風土記の丘とは違い、とても緊張します。渡辺さんが見にきてくれて、「どうせ下がるからもっと上に並べたほうがいい」と教えてくれました。このくらい、と見せてもらって、それを全力で目に焼き付けます。


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(覚えきれない)


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(はしごも針金も熱くて火傷しそう)


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家の裏に竹藪があります。そこからまっすぐの竹を選んでのこぎりで切ります。不要な枝を取り除きます。ぐしで使うものはけんとうぎとちゅうぶちは丸のまま、いぼかくしは半分に割って使用します。そして竹簀用のものが必要です。竹簀は真竹3本ほどを使い、2cmほどの幅にたけわりで割きます。職人は均等になるように幅を調整しながら割りますが、難しそうです。割った竹の元と裏を交互に並べ、ぐしの寸法に合うように幅を決めて藁縄で編んでいきます。最後にいぼ結びで止めて竹簀の完成です。


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うらおしから取ったかな縄を使って銅線をとります。かな縄のねじれを緩めて二本取りにした銅線を挟み、紐を引っ張って銅線の先を裏おしに通します。かな縄が切れたり抜けたりしないように注意を払いながらもう一周銅線を通して仮で止めます。この工程がうまくいかなくて、「かな縄が切れたらぐしを崩すしかないよ」と職人に言われて、あまりに緊張して初めて、弱音が頭をよぎりました。焦らず集中しようとしますがスムーズに進まず、結局職人に助けてもらいました。


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ぐしが完成したのでいよいよ刈り込み作業に移ります。職人らが裏から始め、私が物を運んだりほうきでゴミを落としたりします。屋根の下では瀧田さんがそのゴミを集めて捨ててくれます。刈り込みの作業はこれまでも他の現場で見てきたので少しほっとします。初めての作業は覚えることに頭を使うので、この現場は初めてのぐし作業で毎日頭がパンク状態だったなと振り返ります。それでも風土記の丘での練習場でハサミをいざ握ってみるとわからないことばかりで、それを経験してまた職人の動きを見ると学ぶことがたくさんあります。やってみないと、わからないこともわからないから、手を動かしながら、見れるうちに職人たちの作業を見させてもらおうと思いました。


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仕上げ作業です。屋根の至るところに差しがやをした跡が残り、屋根に牛の縞のような模様ができました。色が違うだけで凹凸のあった屋根が綺麗な平面になって行きます。よく晴れた空に、雲と木の影とその屋根の模様が重なって、不思議な景色でした。最後に地面を掃除します。ゴミが除かれた屋根とお庭がまたすっきりとして嬉しくなります。足場もその日に崩され、綺麗になったところで、おうちの方達と写真を撮りました。みんな屋根を見て、「素晴らしいよ」と喜んでくれて、気持ちがよくなります。

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午前中のうちに江戸さんと、林から樫(カシ)の木を切って来ました。これも次の現場で使うようで、篠よりも良くしなるので、使用する直前に切るのが良いそうです。

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今日から新しい現場に入りました。今回は軒も葺き替えるため水切り用の茅をみんなでこしらえました。天気がよく、日差しを避けるためテントとブルーシートで影をつくり、その下で一日、4人並んで茅ごしらえをしました。一人一つ御座を敷き、茅と向き合います。素手で茅をちぎる感覚は、手袋越しよりも気持ちがよく、前髪を思いきり切ったようなものでした。茅を一掴みすること一つにしても、職人のようにはいきません。量の調整や、茅の破片が散らばらないようになど、気をつけることが山ほどです。

屋根裏が外の光に朧げに照らされます。これまでの現場では屋根の内側から見ることはありませんでした。現在は民家ではなく空き家のため、建物の中に入ることができます。昨年屋根の一部を葺き替えたそうで、その部分は色がはっきりしていました。すすけた色、素の色は、どちらが本当の色なのかなと分からなくなります。明日から、ここに今年の茅が加わります。(全ての指が一瞬にして切られた。)

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屋根の修繕にとりかかりました。まずは屋根を壊して茅を仕分けします。使える茅、おしがや、ごみに分けて整頓します。ごみに分類される茅の中に、真っ黒い茅が混ざります。本当に黒くて、屋根の裏と表では日光無くして陰と陽になっているんだなと思いました。黒い茅の束は、揺れるたびに黒いオーラのようなものが後をひいていました。黒い茅と、黒い竹は頂きました。

真竹と丸太を古いものと取り替えます。竹は木材のように切るのが大掛かりではなく屋根の上でできますし、手軽に持ち運ぶこともできます。

(建物内を移動する時は床がないので床梁をつたう。なかなか楽しい。)

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今朝渡辺さんが来るまでの間、江戸さんに古茅を抜く作業を教えてもらいました。屋根として平らに刈り込まれた薄墨色の大きな面を崩すのは緊張します。砂埃で息がしづらいですが、粉塵用マスクをすると作業に集中できないので悩ましいです。束になってまた使えそうな素材になるのが嬉しいです。

新聞記者さんが取材に来てくれました。地域おこし協力隊として、茅葺職人の新人見習いとして、色々とお話をさせてもらいました。光、建築、写真、茅葺など、ここに来た背景となる話も親身に聞いてもらえてよかったです。地域おこし協力隊という身分で、自分に何ができるのか、話の中で改めて整理することができたような気がします。

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朝家の扉を開けた瞬間に目がくらっとしました。これまでになく強い日差しで、コンクリートの駐車場に虫が居たらすぐにひっくり返っちゃうんじゃないかと思うほどでした。猫は車の下でひっくり返って寝ていました。屋根の上では並べたばかりの茅が水面のように真っ白く光って、ブルーシート上のこしらえ作業は海の上の心地でした。

茅ごしらえをしました。いつまでたっても職人の作るようにできなくて云々考えながら手を動かすのですが、今日少しだけ自分の中で一つ段階を踏んだ感覚がありました。左手の茅の持ち方やその時の量、それらの重ね方など、本当にわずかな違いですが調子よく進みました。みんなでこしらえた茅を押し切りで切って束にしたものを、筑波大の依頼主さんが見入っていました。別の現場でも同じものを写真を撮って嬉しそうにしていた人がいて(以前自分も撮った。今日も撮った。)、人が興味をそそられるものって、どういうものなんだろうと不思議に思いました。帰りの車で目がチカチカして、前の車のブレーキランプが眩しかったです。

(この現場は筑波大学のプロジェクトとして改修中で、依頼主の方が茅ごしらえ作業などを一緒にやってくれています。)

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この日は昼休みの時間中、近くで大きな不穏な音が聞こえました。何かと思ってみんなで見にいくと、車の車輪がコンクリートの道を踏み外して田んぼに落ちかけていました。その運転手は隣の家のお母さんで、いつも明るく話しかけてくれる方でした。みんなお母さんの無事を確認すると、すぐさま車を持ち上げる手順を考え始めました。ジャッキを使っても横にスライドさせるのは難しいし、大きいジャッキは車両の下に入る隙間も十分にありません。隣の家のお父さんも出てきて、小さいジャッキと大きいジャッキを二段階で使い、ニュートラルにギアを変え、ハンドルを切りながら持ち上げて見事道の上に戻すことができました。こうしたトラブルの対処法をすぐに判断できる人たちは、都会ではなかなか出会えないでしょうし、学ぶことは多いなと改めて感じました。

(大量の水と塩が必要。)

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写真を現像しました。今回は5月の残り分と6月の中旬までの分を現像しました。前回は写真家の作業場をお借りして指導を受けながらの現像でしたが、今回は道具類も揃って、初めて一人での作業です。6巻を3回に分けておこないます。現像はフィルムをリールに巻く工程と、タンクに現像、停止、定着液を指定された時間で攪拌する作業が主になります。これらはいずれも失敗が許されず、本当に緊張します。液温もシビアで、温度計を使いながら1℃の狂いがないように氷などを駆使して慎重に進めていきます。

出来上がったフィルムはいくらでも見ていられるほど綺麗で(まだ現像の時間の調整は必要そうですが)、吊るして干している間は何度も見てしまします。透けているけれど全くの透明でなく、黒く残った部分はデータでは残り得ない光の痕跡で、像として写し出されています。改めて、写真って光の現象を人の知恵がうまく使っているなと感動します。乾いたら前回の分も含めて一つのファイルに綴じました。

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(風土記の丘で)茅ごしらえを行いました。すごい雨で、一人黙々と胴切りを作ります。現場でのこしらえ作業とは時間感覚が全く違い、暗く灰色の空の陰で集中できます。江戸さんも途中から手伝ってくれて、10月に行われる予定のワークショップのことなど、色々と話をすることができました。茅ごしらえは、一人だと自分の内側を整理する時間になり、人と行うと井戸端会議のような団欒の時間になります。それは、音が心地いいことと、向かい合って行うから成り立つのだと思います。

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何となく、今日がこの現場の最後になるのかな、と思って朝は寂しい思いでした。これまでで一番長い現場で、学ぶことも考えた時間も多かったからだと思います。結果的には雨が降り中断したことで完成せずにこの日は終わりました。現場はただ作業する場所ではなく、依頼主もただお金を払ってもらう人ではなく、場所も人も大事な関係を持ってしまう感覚があります。これは仕事として良いことなのかまだわかりませんが、茅葺きの現場にはそう感じさせる力があるなと考えずにはいられません。

午後、茅葺きが概ね完成ということで、餅まきを行いました。依頼主さんが紅白の幕を足場につけたりZOOMで遠方の茅葺現場や関係者と繋げて大盛り上がりとなりました。渡辺さんと江戸さんが足場の上から餅をまきました。コロナ以降、改めて人が少しでも集まって何か行動を共にし、喜べる状況は特別なものだなと感じるようになりました。

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今日は珍しく、渡辺さん、江戸さん、瀧田さんがみんな揃って風土記に出勤でした。私と瀧田さんは事務所で作業でしたが、渡辺さんは風土記内の清掃、江戸さんは会津民家の修繕を行っていました。少し江戸さんの作業を瀧田さんと手伝いました。小さな修繕を手伝うのは久しぶりで、確かに、少しだけど職人の動きが見れる様になっているのを感じました。まばらに降る雨と、また別に吹く風に当たって、外はいいなと思いました。

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雨が作業を中断させながら、小屋の現場で最終作業を行いました。雨が降った直後の屋根には、小さな水滴がデコレーションのように散りばめられています。足場を登ってそれに見惚れていると、渡辺さんが「これ好きなんだよね。雨が滑って屋根を守ってるんでしょうね。」と言いました。改めて見てみると、粒は屋根のあちらこちらで不規則に、茅を階段にして降りてきていました。葺きたての屋根は確かに水を滑らせて、いきいきして見えました。

軒が刈られる瞬間に、茅が屋根になったような感覚になります。線が出ると人は嬉しくなるのかな、と不思議に思いながら気持ちが良くなりました。

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(石岡に来て、風土記に来て、常々感じる何か嬉しい気持ちは、空間作品を完成させて一人でそこに居る時に感じるものと近しい。何でだろう。)

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茅の写真用サイトの更新をしました。記事は写真と日誌の一部を引用して構成します。どちらも日時に従って並びますが、そこで色々と考えます。写真の並び、言葉との繋がり、撮影のタイミングなど。だけど結局、「撮りたいものを撮り、書きたいことを書く。」ことに行き着きます。自分がそう思えたものが時間の経過に沿って蓄積されていく方が何より自然に感じます。茅葺を学ぶ中で見れる、嘘のない日々を残せたらと思います。



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雨の日に茅ごしらえを行うのは初めてで、作業場の周りにはいつもと全く色の違う茅葺の建物が並んでいて衝撃を受けました。色が、全然違う。小屋の中の茅と比べて全く別物で、テカリの無い、生き物の毛のような、美しい色でした。


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初めて長期の現場に入りました。嬉しくて緊張しっぱなしでしたが、緊張感がとても嬉しかったです。


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協力隊前任の方々も手伝いに来てくれました。屋根の下で掃除をしながら上の二人に道具や材料を渡す人、茅をまるいたり切ったりする人が必要になります。


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風土記の敷地内に点在する休園の張り紙を撤去しました。


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平葺きは終えて、刈り込みの作業に移ります。渡辺さんがてっぺんから刈り込んでいくのを、ほうきで掃きながら観察していました。切って、掃いての繰り返しで、時々ながら(丸太)を下ろします。雨で濡れた足場は滑りやすく、ながらを下ろすのは最も緊張しました。


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(雨が読めない)


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ながらを取る前に、一番上まで登らせてもらいました。屋根のてっぺんは、風を受けてとても気持ちがよかったです。ぐしをあれほど近くから見るのも貴重で、登ることはすごく、凄いことだと思いました。江戸さんが南面を終える頃には渡辺さんが北面の溝を補修し終えていました。最後にみんなで掃除をし足場を解体して、午前中に作業を終えました。


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道具類を搬出しました。色んな道具を使った気がしましたが、搬出はあっという間に終わりました。道具も材料も、改めてとてもシンプルだと感じました。昼休憩中に、渡辺さんがカンカンと、がぎという道具を作っていました。聞いてみると、がぎは店では売っていないそうです。茅葺職人には必須の道具ですが、皆自分で拵えているようです。


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2つ目の現場の修繕作業に入りました。今回は足場屋さんが建ててくれた足場があり屋根まで登りやすく茅も電動梯子で上げることができます。


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職人がスムーズに作業するほど、または茅を切る必要がある時には、地走りが忙しなくなります。職人の手を自分の作業が遅れて止めることがあってはならない、と急ぎますが、掃除が疎かになったり、茅を束ねるのがギリギリになって焦りを感じます。そんな時、足場で茅を運ぶ際少し足が滑って体勢を崩しました。渡辺さんに「今転んだ?無理しなくていいから」と言われてしまいました。焦りは何よりも禁物だと、常に頭で念じなければなりません。怪我をしたり、物を落としたり、周りに被害を及ぼすことは、職人の手を止めること以上にあってはならないと自分を落ち着かせます。


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現場の茅がなくなってきたので風土記から茅を追加で持っていきました。実はこの作業が最も汗をかきます。茅は縞茅がほとんどなので一つ一つは小ぶりで柔らかく、運びやすいのですが、トラックの上にいる人へ地面から投げる作業を300も400も繰り返すのは途方に暮れます。

(家主さんが溜まり漬けのレシピをくれた。)


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ながらを外しながら、最後の調整として合わせの部分に茅を詰めながら刈り込んでいきます。時折足場まで降りて低い姿勢で歪みを確認します。下で掃き掃除をしていると、刈り込みが始まったことが落ちてくる茅で知らされます。短く軽い、さらさらとした茅の破片が降ってきます。新雪を踏む時の感覚で、少しもったいないと思いつつ、ほうきで集めます。

初めのフィルム現像、スキャン、編集を終え、web上で記事にまとめる作業をしました。撮影から1ヶ月以上経っているものもあり、ちょっとしたタイムカプセルで、同時にこれまで書いた日誌を掘り起こす作業も新鮮でした。時が経って思い出すことでは出てこないような、小さな記憶が残されていて、写真も言葉もそれはいい媒体だと思いました。

(ブルーシートに茅の屑が溜まって、履くたびに地形を変える大陸のようだった)


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最後、軒を刈る際は別のハサミを使い、天地をひっくり返して刈り込んでいきます。角をシュッとたてた後、面取りのように角をとっていきました。葺き替えた屋根は草原のようで、見ていると気持ちが良くなります。

家主さんは毎年少しずつ手を入れているようですが、なかなか資金を貯められなく、今後長く維持することは難しいかなと話してくれました。


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一日江戸さんと笠間へ修繕に行きました。これまでの民家の現場とは空気が違い、はじめ少し気圧されました。「屋根屋さんと共有しておきたいんだけど」と庭師の方が話しかけてきて、この庭の造りが今どれだけ建物に対して良くないかを話してくれました。「建物の北側にある紅葉がいきいきと大きく育っている。つまり建物は傷みやすい。」と聞いて不思議でした。「紅葉は水分を大量に吸収する。育っているということは湿気が多く、水捌けが悪いということ。」だそうで、(じゃあ紅葉が水気を吸ってくれるのは建物には良いことじゃないのかな)とも思いましたが紅葉は移植するそうです。その紅葉は屋根にもかかっていて、建物に近すぎるとのことでした。雨が降って、水がどう流れるか、植物がどう運ぶかを、庭師さん達は景観と同時に常に考えているんだな、と感動しました。

そんな本当の職人が集まる現場で、任された修繕の箇所は予定より多く、持ち込んだ茅の量が少し心配でした。見積もりで計算されていた茅の量から、現場の状態によってはみ出してしまうこともあるそうです。風土記の丘では「限りある物を工夫しながら大事に使う」という心得のもと、個人の民家でも手が出せる金額で修繕ができています。私はこの思想に深く共感し、自分もその姿勢で茅葺を習得したいと思っています。ただし、高級な茅をふんだんに使うやり方を求める依頼者もいるのかもしれません。江戸さんは持ってきた茅を上手に使って無事に修繕は終わりました。勝手な想像ですが、こうした価値基準の相違があるとしたら今後どう受け止めていけるのかな、と考えながら帰りました。



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時間の感覚や声の質がよくわからなくなります。


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ふと何かを感じられた瞬間や残したいと思えた瞬間を自分なりの視点で残すことができたら、それは私がここに来た跡になるな、と考えました。


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生き生きした茅がどういうものなのかは少し分かったように思います。

(無人の中茅葺き屋根に桜が散るのは贅沢な景色。)


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(桜は美しいのに、心待ちにした人はお預けされてしまう。)


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茅を一日中触っていました。感覚が手に残ります。茅に囲まれていると、いろんな角度から観察ができて飽きません。ススキの表面にはガラスと同じ成分が含まれているそうで、テカリがあります。屋根の上は反射して夏場は目が痛いと渡辺さんも言っていました。屋根は鱗のように光の濃淡があって、奥行きがよくわからなくなります。

茅が整っていきます。もともと綺麗だと思っていたけど、不必要な部分を取り除き、形や厚さ、向きを整頓すると想像以上に見違えました。森から切って来た木を製材したような、今すぐに何かを作れそうな予感が走ります。同時に、大量の「ごみ」が出ます。この部分は畑にでも使うのかと思えば、ゴミ処理場で焼却するとのことです。もったいないので何かに使えないかを考え始めました。


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(肩書きを「地域おこし協力隊」と名乗る。「作家」の時とどんな違いが出るだろう。)


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サングラスを通した景色が、写真のように綺麗で、これまで見ていたものはあまりにも光が強かったのだと思いました。桜の花びら一枚一枚に陰影を見て、水に反射する光が煌めいて揺れるのが鮮明に写ります。茅も水のように輝きます。


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今日から撮影を始めました。午前は風土記の公園を歩きながら撮影を行いました。カメラがあると、見えるものが突然増えて、集中力を使います。


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(素材を手で触りながら、同時にレンズを通して見ることはすごく面白い。早く現像してみてみたい。)


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ようやく50束を超しました。まだまだ終わりは見えません。こまるきは精神統一に丁度よく、いろんな事を考えます。いろんな事を思いつきます。企むことに気が取られても、手は止まらなくなってきました。


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石岡(主に八郷)で感じることの一つに、「よそ者に抵抗、特別な関心がない」が挙げられます。多くの地方では歩くだけでチラッと見られたり、「どこから来たの」と尋ねられます。ここはそれがありません。どちらかというと、「今どこに住んでるの」です。市内でも地域ごとに雰囲気があって、距離があります。市外だろうと、県外だろうと、どこかの地域から来た人で、少し近づいたらしい。くらいの認識でしょうか。とても嬉しいのです。

(田んぼに水が張られて、この時期は景色の大部分が空で楽しい。)


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今日は初めて現場に行きました。

現場はやっぱり楽しいです。そして使われている茅の家は本当に美しい!


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茅を束ねる作業中に出たゴミを焼却場へ持っていきました。ゴミと言っても個人的にとっておこうかと悩むほど素材として魅力的なものです。保管する場所が無く断念しました。

(藤が綺麗に咲き始めた。突然暖かくなったのでパンジーが枯れそう。)


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写真も撮り始めています。最初の一巻きを飯村さんから受け取って、まだフィルムの段階ですが既に期待が膨らみます。茅はやっぱり光が面白い。先日現場へ行った際も渡辺さんと家主に許可をもらい撮影しました。そのフィルムはまだ現像されていませんが、風土記の丘敷地内で自在に撮るのと、現場で撮るのは集中力の入り方が全く違い、正直戸惑いました。なるべく生の空気を撮れる様、鍛えなくてはなりません。楽しみです。

(パンジーは生き返った。)


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ようやく最初のノルマが達成されました。これからはまた別の種類の茅の作業に移ります。整頓されて積まれた茅の束たちは綺麗で、嬉しくなります。植物が、素材へ移った感覚です。曇ったり、晴れたり、陽が登ったり落ちたり、茅が照らされて、照り返してつくる色の変化が、少しずつ見える様になってきました。今日の茅、今の茅を、写真に収めることが楽しいです。


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風土記の丘内蕎麦屋の屋根の修繕を手伝いました。

(スズメバチが屋根の上に巣を作っていた。)

ここは、一人の茅葺を学ぶ者が、その中で見たことを保存する場所です。

植物としての茅、素材としての茅

手法としての茅葺、景色としての茅葺

そしてこれらと向き合う人々も含めて注意深く観察します。


写真を中心に、言葉は日誌から少しずつ引き抜いて構成します。

フィルムの区切りに合わせ、随時更新をしていきます。



写真・文 /

牧田沙弥香