07

20.07_7- 25 26 28 33 34 35 

20.07_8- 5 9 10 11 14 16 18 21 23 24 26 27 28 34

20.07_9- 2 3 7 10 14 15 16 19 20 24 25 26 27 28 29 31 32 34 37

20.07_10- 3

_____

r2_0614

午前中のうちに江戸さんと、林から樫(カシ)の木を切って来ました。これも次の現場で使うようで、篠よりも良くしなるので、使用する直前に切るのが良いそうです。

r2_0616

今日から新しい現場に入りました。今回は軒も葺き替えるため水切り用の茅をみんなでこしらえました。天気がよく、日差しを避けるためテントとブルーシートで影をつくり、その下で一日、4人並んで茅ごしらえをしました。一人一つ御座を敷き、茅と向き合います。素手で茅をちぎる感覚は、手袋越しよりも気持ちがよく、前髪を思いきり切ったようなものでした。茅を一掴みすること一つにしても、職人のようにはいきません。量の調整や、茅の破片が散らばらないようになど、気をつけることが山ほどです。

屋根裏が外の光に朧げに照らされます。これまでの現場では屋根の内側から見ることはありませんでした。現在は民家ではなく空き家のため、建物の中に入ることができます。昨年屋根の一部を葺き替えたそうで、その部分は色がはっきりしていました。すすけた色、素の色は、どちらが本当の色なのかなと分からなくなります。明日から、ここに今年の茅が加わります。(全ての指が一瞬にして切られた。)

r2_0617

屋根の修繕にとりかかりました。まずは屋根を壊して茅を仕分けします。使える茅、おしがや、ごみに分けて整頓します。ごみに分類される茅の中に、真っ黒い茅が混ざります。本当に黒くて、屋根の裏と表では日光無くして陰と陽になっているんだなと思いました。黒い茅の束は、揺れるたびに黒いオーラのようなものが後をひいていました。黒い茅と、黒い竹は頂きました。

真竹と丸太を古いものと取り替えます。竹は木材のように切るのが大掛かりではなく屋根の上でできますし、手軽に持ち運ぶこともできます。

(建物内を移動する時は床がないので床梁をつたう。なかなか楽しい。)

r2_0618

今朝渡辺さんが来るまでの間、江戸さんに古茅を抜く作業を教えてもらいました。屋根として平らに刈り込まれた薄墨色の大きな面を崩すのは緊張します。砂埃で息がしづらいですが、粉塵用マスクをすると作業に集中できないので悩ましいです。束になってまた使えそうな素材になるのが嬉しいです。

新聞記者さんが取材に来てくれました。地域おこし協力隊として、茅葺職人の新人見習いとして、色々とお話をさせてもらいました。光、建築、写真、茅葺など、ここに来た背景となる話も親身に聞いてもらえてよかったです。地域おこし協力隊という身分で、自分に何ができるのか、話の中で改めて整理することができたような気がします。

r2_0620

朝家の扉を開けた瞬間に目がくらっとしました。これまでになく強い日差しで、コンクリートの駐車場に虫が居たらすぐにひっくり返っちゃうんじゃないかと思うほどでした。猫は車の下でひっくり返って寝ていました。屋根の上では並べたばかりの茅が水面のように真っ白く光って、ブルーシート上のこしらえ作業は海の上の心地でした。

茅ごしらえをしました。いつまでたっても職人の作るようにできなくて云々考えながら手を動かすのですが、今日少しだけ自分の中で一つ段階を踏んだ感覚がありました。左手の茅の持ち方やその時の量、それらの重ね方など、本当にわずかな違いですが調子よく進みました。みんなでこしらえた茅を押し切りで切って束にしたものを、筑波大の依頼主さんが見入っていました。別の現場でも同じものを写真を撮って嬉しそうにしていた人がいて(以前自分も撮った。今日も撮った。)、人が興味をそそられるものって、どういうものなんだろうと不思議に思いました。帰りの車で目がチカチカして、前の車のブレーキランプが眩しかったです。

(この現場は筑波大学のプロジェクトとして改修中で、依頼主の方が茅ごしらえ作業などを一緒にやってくれています。)

r2_0624

この日は昼休みの時間中、近くで大きな不穏な音が聞こえました。何かと思ってみんなで見にいくと、車の車輪がコンクリートの道を踏み外して田んぼに落ちかけていました。その運転手は隣の家のお母さんで、いつも明るく話しかけてくれる方でした。みんなお母さんの無事を確認すると、すぐさま車を持ち上げる手順を考え始めました。ジャッキを使っても横にスライドさせるのは難しいし、大きいジャッキは車両の下に入る隙間も十分にありません。隣の家のお父さんも出てきて、小さいジャッキと大きいジャッキを二段階で使い、ニュートラルにギアを変え、ハンドルを切りながら持ち上げて見事道の上に戻すことができました。こうしたトラブルの対処法をすぐに判断できる人たちは、都会ではなかなか出会えないでしょうし、学ぶことは多いなと改めて感じました。

(大量の水と塩が必要。)

r2_0628

写真を現像しました。今回は5月の残り分と6月の中旬までの分を現像しました。前回は写真家の作業場をお借りして指導を受けながらの現像でしたが、今回は道具類も揃って、初めて一人での作業です。6巻を3回に分けておこないます。現像はフィルムをリールに巻く工程と、タンクに現像、停止、定着液を指定された時間で攪拌する作業が主になります。これらはいずれも失敗が許されず、本当に緊張します。液温もシビアで、温度計を使いながら1℃の狂いがないように氷などを駆使して慎重に進めていきます。

出来上がったフィルムはいくらでも見ていられるほど綺麗で(まだ現像の時間の調整は必要そうですが)、吊るして干している間は何度も見てしまします。透けているけれど全くの透明でなく、黒く残った部分はデータでは残り得ない光の痕跡で、像として写し出されています。改めて、写真って光の現象を人の知恵がうまく使っているなと感動します。乾いたら前回の分も含めて一つのファイルに綴じました。

r2_0630

(風土記の丘で)茅ごしらえを行いました。すごい雨で、一人黙々と胴切りを作ります。現場でのこしらえ作業とは時間感覚が全く違い、暗く灰色の空の陰で集中できます。江戸さんも途中から手伝ってくれて、10月に行われる予定のワークショップのことなど、色々と話をすることができました。茅ごしらえは、一人だと自分の内側を整理する時間になり、人と行うと井戸端会議のような団欒の時間になります。それは、音が心地いいことと、向かい合って行うから成り立つのだと思います。

r2_0702

何となく、今日がこの現場の最後になるのかな、と思って朝は寂しい思いでした。これまでで一番長い現場で、学ぶことも考えた時間も多かったからだと思います。結果的には雨が降り中断したことで完成せずにこの日は終わりました。現場はただ作業する場所ではなく、依頼主もただお金を払ってもらう人ではなく、場所も人も大事な関係を持ってしまう感覚があります。これは仕事として良いことなのかまだわかりませんが、茅葺きの現場にはそう感じさせる力があるなと考えずにはいられません。

午後、茅葺きが概ね完成ということで、餅まきを行いました。依頼主さんが紅白の幕を足場につけたりZOOMで遠方の茅葺現場や関係者と繋げて大盛り上がりとなりました。渡辺さんと江戸さんが足場の上から餅をまきました。コロナ以降、改めて人が少しでも集まって何か行動を共にし、喜べる状況は特別なものだなと感じるようになりました。

r2_0707

今日は珍しく、渡辺さん、江戸さん、瀧田さんがみんな揃って風土記に出勤でした。私と瀧田さんは事務所で作業でしたが、渡辺さんは風土記内の清掃、江戸さんは会津民家の修繕を行っていました。少し江戸さんの作業を瀧田さんと手伝いました。小さな修繕を手伝うのは久しぶりで、確かに、少しだけど職人の動きが見れる様になっているのを感じました。まばらに降る雨と、また別に吹く風に当たって、外はいいなと思いました。

r2_0709

雨が作業を中断させながら、小屋の現場で最終作業を行いました。雨が降った直後の屋根には、小さな水滴がデコレーションのように散りばめられています。足場を登ってそれに見惚れていると、渡辺さんが「これ好きなんだよね。雨が滑って屋根を守ってるんでしょうね。」と言いました。改めて見てみると、粒は屋根のあちらこちらで不規則に、茅を階段にして降りてきていました。葺きたての屋根は確かに水を滑らせて、いきいきして見えました。

軒が刈られる瞬間に、茅が屋根になったような感覚になります。線が出ると人は嬉しくなるのかな、と不思議に思いながら気持ちが良くなりました。

r2_0711

(石岡に来て、風土記に来て、常々感じる何か嬉しい気持ちは、空間作品を完成させて一人でそこに居る時に感じるものと近しい。何でだろう。)

r2_0712

茅の写真用サイトの更新をしました。記事は写真と日誌の一部を引用して構成します。どちらも日時に従って並びますが、そこで色々と考えます。写真の並び、言葉との繋がり、撮影のタイミングなど。だけど結局、「撮りたいものを撮り、書きたいことを書く。」ことに行き着きます。自分がそう思えたものが時間の経過に沿って蓄積されていく方が何より自然に感じます。茅葺を学ぶ中で見れる、嘘のない日々を残せたらと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000