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20.06_3- 2 3 5 9 13 23 32 33 35 

20.06_4-0 4 10 11 14 18 21 22 23 25 26 32 34 36

20.06_5-0 4 6 9 12 16 25 32 34

20.06_6-1 5 7 8 9 10 11 12 13 14 22 24 25 29 30 33 34

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雨の日に茅ごしらえを行うのは初めてで、作業場の周りにはいつもと全く色の違う茅葺の建物が並んでいて衝撃を受けました。色が、全然違う。小屋の中の茅と比べて全く別物で、テカリの無い、生き物の毛のような、美しい色でした。


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初めて長期の現場に入りました。嬉しくて緊張しっぱなしでしたが、緊張感がとても嬉しかったです。


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協力隊前任の方々も手伝いに来てくれました。屋根の下で掃除をしながら上の二人に道具や材料を渡す人、茅をまるいたり切ったりする人が必要になります。


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風土記の敷地内に点在する休園の張り紙を撤去しました。


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平葺きは終えて、刈り込みの作業に移ります。渡辺さんがてっぺんから刈り込んでいくのを、ほうきで掃きながら観察していました。切って、掃いての繰り返しで、時々ながら(丸太)を下ろします。雨で濡れた足場は滑りやすく、ながらを下ろすのは最も緊張しました。


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(雨が読めない)


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ながらを取る前に、一番上まで登らせてもらいました。屋根のてっぺんは、風を受けてとても気持ちがよかったです。ぐしをあれほど近くから見るのも貴重で、登ることはすごく、凄いことだと思いました。江戸さんが南面を終える頃には渡辺さんが北面の溝を補修し終えていました。最後にみんなで掃除をし足場を解体して、午前中に作業を終えました。


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道具類を搬出しました。色んな道具を使った気がしましたが、搬出はあっという間に終わりました。道具も材料も、改めてとてもシンプルだと感じました。昼休憩中に、渡辺さんがカンカンと、がぎという道具を作っていました。聞いてみると、がぎは店では売っていないそうです。茅葺職人には必須の道具ですが、皆自分で拵えているようです。


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2つ目の現場の修繕作業に入りました。今回は足場屋さんが建ててくれた足場があり屋根まで登りやすく茅も電動梯子で上げることができます。


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職人がスムーズに作業するほど、または茅を切る必要がある時には、地走りが忙しなくなります。職人の手を自分の作業が遅れて止めることがあってはならない、と急ぎますが、掃除が疎かになったり、茅を束ねるのがギリギリになって焦りを感じます。そんな時、足場で茅を運ぶ際少し足が滑って体勢を崩しました。渡辺さんに「今転んだ?無理しなくていいから」と言われてしまいました。焦りは何よりも禁物だと、常に頭で念じなければなりません。怪我をしたり、物を落としたり、周りに被害を及ぼすことは、職人の手を止めること以上にあってはならないと自分を落ち着かせます。


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現場の茅がなくなってきたので風土記から茅を追加で持っていきました。実はこの作業が最も汗をかきます。茅は縞茅がほとんどなので一つ一つは小ぶりで柔らかく、運びやすいのですが、トラックの上にいる人へ地面から投げる作業を300も400も繰り返すのは途方に暮れます。

(家主さんが溜まり漬けのレシピをくれた。)


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ながらを外しながら、最後の調整として合わせの部分に茅を詰めながら刈り込んでいきます。時折足場まで降りて低い姿勢で歪みを確認します。下で掃き掃除をしていると、刈り込みが始まったことが落ちてくる茅で知らされます。短く軽い、さらさらとした茅の破片が降ってきます。新雪を踏む時の感覚で、少しもったいないと思いつつ、ほうきで集めます。

初めのフィルム現像、スキャン、編集を終え、web上で記事にまとめる作業をしました。撮影から1ヶ月以上経っているものもあり、ちょっとしたタイムカプセルで、同時にこれまで書いた日誌を掘り起こす作業も新鮮でした。時が経って思い出すことでは出てこないような、小さな記憶が残されていて、写真も言葉もそれはいい媒体だと思いました。

(ブルーシートに茅の屑が溜まって、履くたびに地形を変える大陸のようだった)


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最後、軒を刈る際は別のハサミを使い、天地をひっくり返して刈り込んでいきます。角をシュッとたてた後、面取りのように角をとっていきました。葺き替えた屋根は草原のようで、見ていると気持ちが良くなります。

家主さんは毎年少しずつ手を入れているようですが、なかなか資金を貯められなく、今後長く維持することは難しいかなと話してくれました。


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一日江戸さんと笠間へ修繕に行きました。これまでの民家の現場とは空気が違い、はじめ少し気圧されました。「屋根屋さんと共有しておきたいんだけど」と庭師の方が話しかけてきて、この庭の造りが今どれだけ建物に対して良くないかを話してくれました。「建物の北側にある紅葉がいきいきと大きく育っている。つまり建物は傷みやすい。」と聞いて不思議でした。「紅葉は水分を大量に吸収する。育っているということは湿気が多く、水捌けが悪いということ。」だそうで、(じゃあ紅葉が水気を吸ってくれるのは建物には良いことじゃないのかな)とも思いましたが紅葉は移植するそうです。その紅葉は屋根にもかかっていて、建物に近すぎるとのことでした。雨が降って、水がどう流れるか、植物がどう運ぶかを、庭師さん達は景観と同時に常に考えているんだな、と感動しました。

そんな本当の職人が集まる現場で、任された修繕の箇所は予定より多く、持ち込んだ茅の量が少し心配でした。見積もりで計算されていた茅の量から、現場の状態によってはみ出してしまうこともあるそうです。風土記の丘では「限りある物を工夫しながら大事に使う」という心得のもと、個人の民家でも手が出せる金額で修繕ができています。私はこの思想に深く共感し、自分もその姿勢で茅葺を習得したいと思っています。ただし、高級な茅をふんだんに使うやり方を求める依頼者もいるのかもしれません。江戸さんは持ってきた茅を上手に使って無事に修繕は終わりました。勝手な想像ですが、こうした価値基準の相違があるとしたら今後どう受け止めていけるのかな、と考えながら帰りました。

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