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施設内の曲り家の修繕に入ります。

(軒から初めて教えてもらいます。)


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まずは杉皮が入っている箇所まで茅を外します。荒縄で束にして下に落とします。この作業も思っていたより緊張しました。

この作業中は蟻が一番の天敵です。4人中3人が蟻に刺されました。痛いです。

(楽しい。)


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古い屋根の奥にあるうらおしから縄をとるのはとても苦戦しました。お客さんの家で縄を取るのに時間をかけている余裕はありません。この時だけ指が長くなって関節が自在になったらと心から思ってしまうのです。

暑さが和らぐことなく頻繁に水分を取ります。風土記の丘ではエアコンの効いた事務所があるので涼むことができます。茅葺の要員以外にも屋外で施設内の整備をしているおじちゃんらや、草取りや清掃をしてくれるおばちゃんらが働いています。熱中症が怖い中ですが、こまめに休みながらみんなで汗水を垂らす日は必ず良い一日になります。屋根に上がって作業をしていると、彼らや食堂のみなさん、お客さんなどが「暑いね~」と声をかけてくれます。民家の現場とはまた違う、色んな人の暖かさがあります。

(難しい。)


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職人は茅を引っ張って、ここまでがとら縄、ここまでがおしぼくにあたってるというのがなんとなくわかるそうです。初めそれを見たときに、信じられませんでした。茅が透けて中が見えるのかと思いました。私には見えないので手を突っ込んでいちいち確認をします。職人に遅れを取りながら茅を差しますが、周りと量をうまく合わせることができません。屋根を降りて勾配を確認すると、私の部分だけ膨らんでいたり落ちていたりします。平葺同様、差しがやも茅の高さを揃えるのは本当に難しいです。

(屋根にあるきが並んでいくと、一つのアスレチックのように見えます。人が登って降りて、景色を見るための高台になって、嬉しい気持ちになります。)


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煙出しの下につける箱の飾りを作りました。

今日は青空で緑と白が茅の色に加わって鮮やかになりました。ぐしを作った時も思いましたが、作り立ては青々としていて綺麗ですが、1日経つとあっという間にあせていきます。いっときの鮮やかさが嬉しいと感じつつ、馴染んだ色に安心する気持ちもあります。


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自分のハサミをまだ持っていないので、渡辺さんが以前に他の職人から譲り受けたハサミをしばらくお借りします。自分のせいで切れなくなったらと思うと恐る恐るですが、研ぎ方を教わりました。少しだけ刈り込みをしてみて、すごくよく切れるのでこれは大事に使わせてもらおう、と改めて思いました。

(ハサミ、楽しい。)


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練習場所で刈るのとはやっぱり緊張感が違います。。今回はしまがやを使って葺いたので柔らかく、やまがやと比べると刈るのに力が要らないそうです。それでも腕が疲れます。握る力が弱まると時々茅が切れずにくねっと折れるだけになってしまいます。

(ハサミ、きれい。)


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足場を解体しました。ただ、食堂なのでお客さんが中にいる間は細かい掃除は避けることにしました。大抵の現場でそうですが、人が建物の中に居るということがとても不思議に感じます。これまで自分の作品制作においては自分とその手伝いの人以外、現場に居る人はいません。近所の人や通りすがる人はいますが、この仕事の現場にはその作業の間に、下に、人が暮らしています。「どんどんと足で蹴る音が好き」という家主がいると江戸さんがいつだか言っていました。複数人で縄を締めるときに、せーので息を合わせて踏みます。その音を屋根の反対側で心地よく聞いている人がいるんだな、とハッとします。茅葺の工事は他の工事より静かだ、とよく思いますが、茅葺は音も人の気持ちを穏やかに動かすのかなと感じます。

(自分も全部の工程を行なって、初めての屋根ができた!)


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鹿の子遺跡移築の中の、縦穴の裏側1面、両脇の半分を壊しました。穴が開いた縦穴を、休憩時間に一人で満喫しました。静かで、柔らかく照らされて、自分は影とも光とも言えない場所に(でも外ではなく、どちらかといえば中に)潜んでいる気持ちでした。雨を遮る役目を持たない、茅葺の屋根に惹かれます。用途を失ってもなお、綺麗なのです。


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(冬の桜の木、春の桜の木のどちらにも花が咲いている。)


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雨で屋根の作業ができないため、後々の現場で必要な山茅の胴切りをこしらえました。久々に一人こしらえ作業ですが、台風が低気圧になった後のしんしん降る雨の中で、非常に有意義に作業することができました。涼しくて素手で触る茅の感覚も気持ちがよく、静かで雨と茅の擦れる音だけが耳に入ります。それでも天敵がいて、顔の周りを常に複数の蚊がついて回ります。

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